2018年にたこ焼き屋さんが3年間で5億円以上を売り上げていたというニュースがあったんですが、僕はこのニュースがただただ衝撃でした。

「8個入り600円」のたこ焼きで、

1年間でおよそ1,7億円の売上

1ヵ月でおよそ1,400万円の売上

単純計算ですが、路面店のたこ焼き屋さんがこんな数字をたたき出していたんです。

これはめちゃくちゃすごい数字です。

このたこ焼き屋さんは、脱税をしていたということで悪いニュースで取り上げられていたんですが、一方でこの売上の実態に驚いた人も多かったのではないでしょうか。

大阪城名物、たこ焼きが突然バカ売れ。大もうけしながら税金を納めなかった大阪城公園(大阪市中央区)内の飲食店が告発された。その脱税額、実に約1億3000万円。
関係者によると、2014年1月~16年12月、店の売り上げで得た個人所得約3億3000万円を税務申告せず、所得税約1億3200万円を免れたとしている。

脱税という犯罪は論外ですが、一方で、このたこ焼き屋さんが示した数字こそが、商売を繁盛させる正体を明らかにしたと僕は捉えています。


『どこで』『何を』『誰に』売るか、このシンプルな掛け合わせが商売繁盛の基礎

ニュースになったたこ焼き屋で当てはめてみると、

『どこで』
→大阪城という観光地で

『何を』
→外で手軽に食べられるたこ焼きを

『誰に』
→高揚感のある観光客に
→インバウンド(訪日外国人旅行者)

という感じです。

もっと深堀して細かい要素を抽出できるのかもしれませんが、大枠ではこれだけです。

商売繁盛の基礎はものすごくシンプルなんです。

そしてこの掛け合わせは、なにもリアル(実店舗)だけの話しではなく、ネット上でも商売繁盛の基礎は同じです。

さすがにたこ焼きでは例えませんが、それぞれを解説するならこうです。

『どこで』
→自社サイト、他社サイト(モールなど)

ネット上でも販売場所はリアル同様にたくさんの場所があります。これからはSNS上でだってどんどん活発になっていくかもしれません。

『何を』
→ものはもちろんのこと、ネット上では無形商材だって扱えます。

『誰に』
→SEM(検索など)、広告(リスティング、リタゲなど)、SNS

ネット上では、多種多様な方法でリーチできます。

というように、ネット上はこのような感じで、リアルでもネットでも基本の掛け合わせに変わりはありません。


多種多様な掛け合わせが可能になった反面、今起きている問題

手法が増えた結果、よくない問題も起きています。

それは、何が正しいのかを見失ってしまっているケースです。

僕は仕事柄、大手企業などと関わる機会が多いのですが、先ほど述べたように何が正しいのかを見失った結果、他が何をやっているのかばかりが気になり、しまいには他をマネすることしかできなくなってしまっている、そんな状況を目の当たりにしています。

大企業すべてが、という偉そうなことを語る気はありませんが、大きな組織になればどうしても思考停止になっている傾向が強いと思います。

この世に存在していない全く新しいプロダクト(商品)を展開しているのであれば別ですが、今やほぼ "もの" 自体では差別化できないのに、表現方法や売り方までマネをしていては、その先に明るい未来があるとは思えません。


たこ焼き屋さんが証明した商売繁盛の正体

再度たこ焼き屋さんの話しに戻りますが、とにかく僕はこのニュースに衝撃を受けました。

たこ焼きというどこにでもあるものでも、「場所」と「もの」と「売る対象者」がハマるだけでここまで商売繁盛を実現できるのです。

もちろん犯罪自体は悪いことですが、商業的に成功する商売の正体をこのたこ焼き屋さんによって明かされたといってもいいのではないでしょうか。

しかも、たこ焼き屋さんの事実に何か小難しロジックなんてあったでしょうか?

無いはずです。

『どこで』『何を』『誰に』売るか、とにかくシンプルにこの掛け合わせをマッチさせただけです。

このニュースは、僕自身のビジネスパーソンとしての心得になっています。



みんな体感している

ささいなことかもしれませんが、誰もが日常の中で掛け合わせによる高揚感を感じるシーンに出会っているはずです。

僕はこんなことがパッと思いつきます。


・飲んだ後だからうまいラーメン屋

僕の好きなラーメン屋にホープ軒というお店があります。

ただ、好きと言っても飲んだあと限定で好きなラーメン屋さんなんです。

どういうことかと言うと、ホープ軒に失礼ですが、、普通にランチで食べるとおいしいとは思わないんですが、飲んだ後だと妙においしく感じるんです。

要するに ”飲んだ後にほろ酔い状態でシメに食べるホープ軒” が好きなんです。

まさに掛け合わせがあってのホープ軒が好きなんですね。


・夜勤バイトのときに深夜に食べた牛丼

僕は学生時代に知人の空調工事屋さんで夜勤バイトをしていたことがあります。

仕事内容は資材運びなどの肉体労働で、若いとはいえすごく疲れるバイトでした。

そんなバイトの唯一の楽しみは、休憩時間に差し入れで食べる吉野家の牛丼でした。

腹ペコ状態で疲れた深夜に食べる牛丼がたまらなくおいしかった。

(そもそも吉野家の牛丼はおいしいですが) ”深夜に食べたあの牛丼” は格別なんです。


これらには『どこで』『何を』『誰に』この掛け合わせが伴っています。

自分史上にあるすごい思い出じゃなくても、これくらいのことは日常の中で体感しているはずです。

ということは、日常の中の瞬間瞬間に体感している「今日はいつもよりおいしく感じるなぁ」くらいのことさえ、「なんでだろう?」と客観的に捉え、感じ、思考することがとても大事だったりします。

もしかしたら自分の中でのビジネスのヒントになるかもしれません。

また、今流行っていることを『どこで』『何を』『誰に』に当てはめて整理してみるのもいいですね。

2019年の今は、タピオカミルクティーがとても流行っていますよね。

なぜ流行っているかは、流行っているタピオカミルクティー屋さんを『どこで』『何を』『誰に』それぞれ当てはめると、繁盛している正体が明確になります。