DEEPER'S WEAR(ディーパーズウェア)の代表である木村氏のこの記事は、ものや情報が溢れかえった現代を生きているファッション関係者全員に読んでほしい内容である。

今この瞬間から近い将来において「最も必要な本質」が書かれている。この内容に何も感じない人は、この先の時代をうまく乗りこなしていくことは難しいのではないだろうか。

参考:#015 “ポップアップストアの限界点”を感じた男が、販売を目的にしない「フラットなリアル店舗」を作る理由 | ALL YOURS木村のLIFE-SPECの作り方

重要なポイントを引用し、僕の意見を付け加えて書いていきます。

ウィンドウショッピングは死んだ。
最近、よく聞かれます。

「今からブランドを始めようと思ったら、やっぱオンラインだけでやるのが良いんですかね?」

 オンラインとオフライン、どちらが優れているか?という議論は意味がないと個人的には思っている。それは、重要なのはオフだろうが、オンだろうが、重要なのは「接点」だから。

最近の買い物の動向を考えても「ネットで検索→実物確認→購入」という流れが多く、最初から調べて来て目的買い、指名買いのお客さんがほとんど。みんな、お店に答え合わせに来てもらってると思っていい。
なにか良いものがないか?あてもなく探して歩くようなウィンドウショッピングをしている人は今や絶滅危惧種。出会い頭の衝動買いってのはもちろんあるけれど、今は行きたいお店、入るお店だってあらかじめ検索してから来ている人が多いはずだ。
オンラインだろうが実店舗だろうが重要なのは「接点」である。これはそう簡単に出てくる言葉じゃない。特にファストファッション寄りの領域には無視されがちな思考ではないかと思う。安かろう悪かろうで、いかに大量に売って売上高を取るか、というようなビジネスモデルのブランドには欠如しがちな部分である。

今や街にふらっと出向いたついでに、衝動的に洋服を買うことなんて確かに皆無である。お店に答え合わせに行く、まさにその通りだ。これらの時代の空気感を理解せずに、お店をやろうなんて無謀でも何でもないように思えることは間違いない。


僕らが作りたいのは、カルチャー

お祭りのテキ屋のようにPOP UP STOREを繰り返し、その先で感じた限界点。それは、借りものの中では「コミュニケーションをベースにした自分たちの文化」はつくりだせない、と。
「カルチャーを作りたい」という思いを形にするため、そして「現実的に購入にストレスが出てきてしまう」という問題を解決するためには拠点が従来のPOP UPじゃ作れないということで、自分たちのルールで自由に使える「リアル店舗」をもつしかないとなったのです。
上述の過程があり、満を持して4月27日(金)に店舗をオープンするわけですが、本記事に書かれていうことを具現化しているブランドであるならば「いい店舗」に違いないとしか思えない。

大型駅周辺や原宿を代表とするファッションエリアでは、高速サイクルで立っては消え、立っては消えといったスパンで、価値を見いだせない洋服屋がとっかえひっかえ乱立している。一方で「自分たちのカルチャーを作りたい」というファッションとして、そしてブランドとしての本質的な価値にフォーカスしている。これがこれからの時代を切り開いていくのではないかと思う。


「お店は誰のもの?」を考えるお店。
リアル店舗の最も重要なことは販売じゃない。それはブランドを表現する一部分に過ぎないのだ。そのブランドの姿勢を発揮し、そこで行われる全てのサービスがブランドらしさを表現するもの。ブランドとのコミュニケーションを重視した場を作りたいと思っています。
ブランドとのコミュニケーションが重要であり、その中の一つに販売があると。素晴らし過ぎる。こんなことを意識しているブランドが果たしてどれだけあるのだろうか。買う気のないやつは何者ともみなさず、買ってくれる人にはもっと買えもっと買えと「ただの消費者」という扱いで、ただものを売るだけの店がほとんどではないだろうか。

マニュアル化された絡みをすることが「接客」というビジネスのひとつの手法に置き換えられ、ファッションの本質にある価値をいちじるしく低下させてきたのが昨今のアパレル企業たちである。

結果、安くすることでしか「顧客満足度」を上げられず、自分で自分たちの首を絞め続けてきたのが、アパレルが不況に陥った最大の理由であろう。こんなやり方をしているのだから、もう終わりが近いことに何の疑いもない。

「シェア=共有」することで、新しい価値や、思ってもいないメリットが生まれるのは、インターネットが証明してます。価値観も物理的なスペースもシェアしていくことで生まれる偶然性を生み出す「場」としてお店を運営していきます。

お店は販売場所でもあるけれど、販売はオンラインでもできるし、お店にオンラインと同じような機能を追求してもあんまり意味がないかなって思うからです。

かといって、昔ながらのアナログな思考というわけではなく、ネットの価値を理解しつつ、「お店というリアルを再定義」しているところが時代遅れをまったく感じさせないのです。


「お店づくり」をインターネット的に。
最後に、言い忘れてはいけないのは、この新店舗への移転が実現したのはクラウドファンディングで支援をいただいた資金で実現したという事実。共犯者のみなさんと一緒に作った店舗事務所だと思っています。

なんてったて、今やっているお店の内装を、お客さんが手伝ってくれている。

DEEPER'S WEARは、元々クラウドファンディングにおいてアパレル史上最も資金を集めたブランドなんです。クラウドファンディング内のページも見てもらえればわかりますが、インサイト(顧客の心理やツボ)を突くのが非常にうまいブランドなんです。出資してくれた方を共犯者というあたりにマーケティングのセンスを感じますね。
「フラット、リンク、シェアなお店づくり」をテーマに、みんなで新しいお店を作っていきましょう。店を運営していくにつれて、誰のものなのかわからなくなってくるような、そんな参加型のお店を目指します。ぜひご一緒に協力してくださると嬉しく思います。
ブランドっていうと、上から目線でなんか近寄り難く、カッコつけてて時には鼻に触るようなイメージを抱きやすいのですが、こういうブランドはもう輝けないと思います。それは、資本主義から移り変わっていくだろうと言われている「価値主義」「評価経済」が確実に証明していくことでしょう。

インターネットによってこの先ももっともっとテクノロジーは発展していきます。テクノロジーによって人間が感じている「煩わしさ」がどんどん取っ払われていきます。

そうすると、よりフォーカスされるのは何でしょうか?それは「人間が本質的に求める価値」です。上っ面だけで、小手先だけでどうにかなっていた世界は淘汰されます。そして生き残るのは「本質的な価値」をもつものだけです。

今回のDEEPER'S WEARの記事を読んで、この先何が必要とされて、何が求められていくのかが感じ取れましたでしょうか?全てに納得できなとやばいよ、とは言いませんが、ファッションやアパレル業界にいる方たちで「この時代の流れ」を感じ取れていないようでは危険ですよ、とは言いたい。

せめてここら辺の本に書かれているようなことは理解していないと存在価値無くなりますよ。