アパレル・ファッション業界に10年以上勤めている僕がこれまでに読んだ本の中で、特におすすめなビジネス書をご紹介します。

まずお伝えしておきたいのが本記事で紹介するのは、

・アパレル・ファッション業界の歴史について

・アパレル・ファッション業界を評論する内容

といった本ではありません。

ぶっちゃけ、こういった本をいくら読んだところで多少のウンチクが身につく程度で、ビジネスの現場では役に立たないことがほとんどです。


本記事で紹介する本は、

・アパレル・ファッション業界での実践的なマーケティングについて

・EC事業での重要な視点について

・ブランドとしての存在価値とは何か

といった、アパレル・ファッション業界で本質的に重要なことが学べる本です。

だからこそ、本当におすすめしたいです。


それでは、ビジネスの現場で役立つ視点を学べるビジネス書をご紹介します。



マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法


タイトルの通り、マーケット感覚というのはビジネスパーソンにとっては必要不可欠な感覚です。

僕がこの本をおすすめする理由は、アパレル・ファッション業界ではこの「マーケット感覚」が無い方たちがとても多いと感じるからです。

特に大手アパレル企業の方と仕事をしていて感じるのが、

「他社で売れているものは何か?」

「他社で取り入れているサービスは何か?」

といったように、周りばかりが気になり、「マーケットを自分たちでつくっていく」という感覚が全くありません。

こんな状況を目の当たりにしていると、本書の中で述べられている下記の部分がものすごーく心に突き刺さります。

自分が売っている商品名(サービス名)は言えても、売っているものの価値を正しく認識できていなければ意味がない。

市場で売られているモノ(=取引されているモノ)は『モノ』ではなく、『価値』です。身の回りの市場を見たときに、そこで取引されている価値は何なのか。

それを理解できる能力=マーケット感覚が、これから重要。

世間的には「服が売れなくなった」と言われていますが、それは売る側のマーケット感覚が失われているからなのかもしれません。





MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体


本書はメディアの在り方について説かれている内容です。

一見、アパレル・ファッション業界とは関係ないように思うかもしれませんが、むしろ必見の内容です。

理由は、洋服というモノを売る行為は、ある意味 ”売り手と買い手のコミュニケーション” でもあるからです。

特にECサイトが当たり前の販売チャネルとなっている現代では、本書に書かれている下記の部分は深く頷けます。

メディアというものは、そこに情報が掲載されることによって、こういう層の読者が、きっとこのように反応するだろうな・・・と実際に読者の行動が起きる前に、想像され、予想されることにこそ、影響力の本質があります。

メディアの仕事というのは、この本に何度も書いたように「送り手」と「受け手」が存在し、その間に立って当人たちの想いをどのように付加価値をつけつつ伝えるか?

結局はそれに尽きるからです。

メディアをファッションに置き換えてみても納得の内容です。

ネットやSNSは、まさに「売り手」と「買い手」を繋ぐ存在であり、それらによってどのように付加価値をつけられるかが今まさにアパレル各社が注力していることです。

本書は、現代のアパレル・ファッション業界にとってとても有益な内容なのでおすすめです。





インターネット的


元々10年以上前に書かれた内容を加筆された本ですが、当時書かれていた内容について「いまの時代が予見されている」とまで言われる内容です。

インターネットについて語られているわけではなく、インターネットが当たり前になったからこその「商売の在り方」「ブランド価値」をものすごくわかりやすく説いた本です。

そして何と言っても糸井重里さんの言葉は心にスッと入ってくるんですね。

アパレル・ファッション業界の方の心に響く部分をいくつかピックアップしてみます。

いかにも値段に見合った商品らしい商品、という常識は、もっと疑わられていくのではないでしょうか。

完成品でなくても、いますぐほしいという人もいるだろうし、大勢の人が必要としなくてもある少ない人数が熱望している商品だってあるはずです。

完成を何年も待って、発売したときにはもう陳腐になっていて見向きもされなくなったという商品も、世の中にはたくさんあった。

試すことを多く、速く、そしてすぐに改良できる、という製品やらシステムが、これからの主流になっていく。

ECとかインターネットを使ったビジネスは過剰にもてはやされたり、すっかり価値を下げたり、評価軸がぐらついています。

ビジネスでいう「売る側」ばかり語られていると思いませんか。

ビジネスがうまくいくかだのいかないだの言われても「買う側」にはどうでもいいことなのではなかったでしょうか?

消費されないところでは、生産されたものはただの在庫だったり、悪く言えばゴミと同じような価値しか持たないわけです。

モノやサービスがどこに発生しているかといえば、それがつくられた場面にではなく、消費者に受け渡され使われたところで初めて生まれているのです。

生産は消費がない限りできません。むろん消費も生産がなければできないわけで、その両方がセットになって市場ができているわけですよね。

いや、世界ができていると言ってもいいくらいです。情報の送り手と受け手の関係も同じことでしょう。

”売り手側の都合” ばかりで「買い手」を無視しすぎではないですか?

という、アパレル・ファッション業界の本質的な問題の核心を突いている内容は必見です。


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ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力


最近発売され、今話題のアカツキ社長のハートドリブンもおすすめです。

洋服は特にだと思うんですが、安くて機能的でいいものが当たり前になってきたその先には、目に見えない感情・直感・感性といったものに価値が宿ると僕は思っています。

というか、現にそういうブランドにこそ熱狂が起こっています。

アパレルEC業界にいると、データ脳の人が本当に多いです。

データが大事なのは否定しません。

が、データ分析すること、データを出すことが仕事になってしまっていることは違うと思うんです。

本書に書かれている下記の部分は、何度でも心に刻んでおくべきです。

ブランドは意義から作られる。

これからの時代は今まで以上にWhy(意義)が全ての中心になる。

競争戦略をたくさん考える前に、Whyをクリアにして、Whyをどう伝えるかを考えたほうが、圧倒的に価値がある。

全ては「Whyからスタートする」だ。

データは大事ですが、Why(意義)を中心に置いてスタートしなければ意味が無いんです。

一見無駄に見えることが価値を持つ時代だ。合理的に説明できないことかもしれない。

でも、ワクワクする、なんか面白いということがファンをつくる

世の中が便利になればなるほど、人間であるからこその「ワクワクする」「なんか面白い」という現象に価値が宿ると思いませんか?





頭でっかちの評論家にならないこと

これは偏見かもしれませんが、、アパレル・ファッション業界で働く方たちって ”ビジネス視点” に乏しいような気がしています。

というのも、洋服一つ売るのにも多くの工数がかかり、そして働く多くの人が作業者となってしまっています。

それでは、ブランド価値を高めることもビジネスパーソンとしての価値を高めることも難しいです。

(主観ですが、あまり本を読んでる人も聞かないです)

ですが、アパレル・ファッション業界で働く方たちと会話をしているととにかく多いのが、

頭でっかちの評論家

のような方たちです。

これは業界を語ったり評論してるだけのメディアが実に多いことも起因してると思いますが、

「言ってるだけ」「思ってるだけ」

で、実行する人は皆無です。

だからせめて、今回紹介した本たちに書かれている内容をインプットし、行動に紐づけていければ、目の前の状況を変えていけると思っています。