アパレル業界でこれまで100ブランド以上を見てきた中で、売れている人気ブランドには3つの特徴があることに気づきました。

その特徴というのは、デザインやターゲットにしている市場といったことではなく、ブランドとしての在り方スタンスについてです。

そして、本記事で言う「売れている」「人気がある」というのは、一時的にバズっているブランドは対象にしていません。

(わかりやすい例は、インフルエンサーマーケティングによって瞬間的に人気を得ているブランドは対象外です)

一時的なものではなく昔から、今も、そしてこれからも、人気であり続けるブランドの特徴です。

いわゆる本物とか本質的な理由で「売れている」「人気がある」というブランドを対象に述べます。


1. お客様に寄り添うけど、決して媚びない

「お客様は神様である」なんてことは今は言われなくなりましたが、商売をしていれば「ユーザーファースト」というスタンスでなければいけません。

そしてこの「ユーザーファースト」においては ”寄り添う” けど ”媚びない” という在り方がとても大事なんです。


寄り添うとは「インサイト」をつくということ

インサイトとはユーザーの欲求のツボを刺激することを意味します。

では、ブランドがお客様に寄り添うということがどういうことかと言えば、

それは、お客様の欲求というツボを刺激することです。

具体的には、

・楽しさを与える

・喜びを与える

・感動を与える

・お客様の悩みや疑問を解決する

といったことです。


決して媚びない

媚びるとは、気に入られようと機嫌を取ることです。

つまり、お客様に気に入られようと機嫌を取るということです。

ブランドとしてお客様に媚びている状態を表す具体的なものは、

・流行ばかりを追う

・マネばかりする

・安売りばかりする

といったことです。

本質的に「売れている」「人気がある」ブランドは、上述したことを安易に行ったりはしません。

周りばかりを気にし、身を削ってまでお客様に決して媚びたりしません

「売れている」「人気がある」ブランドは、お客様に寄り添うことと媚びることを混同せずに理解しています。


2. トレンドよりテイスト重視

その時のトレンドはありつつも、昔も今も「売れている」「人気がある」ブランドには ”これだ” というブレないものが必ずあります。

それがいわゆるブランドが持つテイストです。

人気ラーメン屋の定番メニューも時代とともに微妙に味を変えているけど、在り方やスタンスは不変である、というのと同じです。


それからコカコーラの例もわかりやすい。

コカコーラが売っているのは不思議な味がするドリンクだけを売っているわけではありません。

安心感、爽快感、疲れた時のひとやすみ、仲間と談笑する楽しさ…といったいろいろなものを売っているんです。

味は時代とともに変化させているかもしれませんが、提供している価値は不変なんです。

ブランドとは、さわれるもの、さわれないもの、見えるもの、見えないものの複合体であるので、トレンドばかり追いかけていては、ブランドとしての ”テイスト” が確立されるわけがありません。

テイストとはむしろ、そのブランドが何者であるのかを証明するものといえるかもしれません。



3. 想起される

元プロ役選手である新庄の「記録よりも記憶に残る選手になりたい」という名言がありますが、わりとこれが重要。

さらに付け加えたいのが、想起される存在になるということ。

要するに、ターゲットとする市場内で一番に思い出してもらえるブランドになることです。

食事で例えるなら、

「肉食べたいときはあの店だな」

「イタリアンならあそこだ」

「サクッと安く飲むならこの間行ったあの店にしよう」

というように、人の思考の中に想起される存在であることが「売れている」「人気がある」ブランドです。

これは、ネットやSNSでたまたま認知されることよりもはるかにブランドとしてのエンゲージメントが高い存在であるといえます。


以上の3つが、10年以上アパレル業界にて100ブランド以上見てきた僕が感じた「売れている」「人気がある」ブランドの特徴です。


ブランディングやマーケティング関連でおすすめの本

本記事で述べた「売れている」「人気がある」ブランドの特徴とは、ブランディングやマーケティングそのものでもあります。

そんなブランディングやマーケティングに役立つおすすめの本をご紹介します。


- ドリルを売るには穴を売れ


本のタイトル自体がマーケティング用語としても使われるくらい有名で、商売をしている方には必読の本です。

よく言われている「価値」「差別化」といったことが ”どういうことか” を具体的に学ぶことができます。


- 売れる会社のすごい仕組み


「ドリルを売るには穴を売れ」の続編ともいえるのがこちらです。

イタリアンレストランを舞台にストーリー仕立ての内容になっていて、リアリティがあります。

実際に現場で ”売れる仕組み” が実践されているところをのぞき見している感覚を味わうことができます。


- 売れるもマーケ 当たるもマーケ―マーケティング22の法則


25年以上前の本ですが、マーケティングの本として今でも語り継がれる名著です。

本書の中に「一番手の法則」というのがあり、

”人々は、実体云々よりも、人の心に入り込んだ最初の商品を優れた商品であると知覚する”

という内容が書かれていて、これはまさに「3. 想起される」と同じことです。

時代は変わっても根底は不変であることに気づかせてくれます。